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神戸地方裁判所 平成4年(行ウ)34号 判決 1992年10月28日

神戸市兵庫区湊町四丁目二番二六号

原告

岩本和男

右訴訟代理人弁護士

麻田光広

神戸市兵庫区水木通二丁目一番四号

被告

兵庫税務署長 十倉功雄

右指定代理人

山口芳子

行谷規斗志

前川昭

宮武忠重

中井保弘

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

一  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

被告が昭和六三年八月十五日付けで原告に対してした昭和六〇年分、昭和六一年分及び昭和六二年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分をいずれも取り消す。

第二事案の概要

本件は、原告が商品先物取引によって受けた損失を事業による損失であるとして事業所得から控除して確定申告をしたところ、被告が右取引は事業に当たらないとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたので、原告がその取消しを求めている事案である。

一  争いのない事実

1  原告は、神戸市兵庫区内において税理士業を営む者である。

原告は、昭和六〇年ないし六二年中に、別表(一)記載のとおり商品先物取引(以下「本件取引」又は「本件商品先物取引」という。)をし、右各年分(以下「本件各年分」という。)の所得税の確定申告において、右取引によって生じた損失の金額を本件各年分の事業所得金額の計算上生じた損失の金額として事業所得の金額から控除して、別表(二)の「確定申告」の各欄記載のとおり、法定申告期限内に、それぞれ確定申告(以下「本件申告」という。)をした。

2  被告は、昭和六三年八月一五日、原告に対し、原告の本件申告は本件取引に係る所得について所得の区分を誤っており、事業所得の金額と通算することはできないとして、別表(二)の「更正処分等」の各欄記載のとおり更正処分等(以下、併せて「本件処分」という。)をした。

3  原告は、本件処分について、昭和六三年九月一二日、国税不服審判所長に対して審査請求をしたが、国税不服審判所長は、平成元年七月一四日付けて右審査請求を棄却する旨の裁決をし、その裁決書は、そのころ原告に到達した。

二  争点

本件の争点は、本件商品先物取引による損失が事業所得の金額の計算上生じた損失に当たるがどうかである。

第三争点に対する判断

一  事業所得の意義について

所得税法二七条一項は、「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。と規定し、これを受けた所得税法施行令六三条は、事業の範囲を「一 農業、二 林業及び狩猟業、三 漁業及び水産養殖業、四 鉱業(土石採取業を含む。)、五 建設業、六 製造業、七 卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)、八 金融業及び保険業、九 不動産業、一〇 運輸通信業(倉庫業を含む。)、一一 医療保健業、著述業その他サービス業、一二 前号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業」と規定している。

したがって、ある所得の事業所得該当性については、当該所得の発生原因になった経済的行為が右施行令六三条各号に規定する事業に該当するか否かによって定まることになる。

二  所得税法施行令六三条八号該当性について

1  原告は、本件取引は日本標準産業分類(以下「産業分類」という。)の大分類J-金融業及び保険業、中分類六四-補助的金融業、金融附帯業、細分類六四一九-その他の補助的金融業、金融附帯業に当たり、対価を得て継続的に行う事業であるから、所得税法施行令六三条八号の「金融業及び保険業」に当たると主張し、被告は、産業分類の「産業」と所得税法の「事業」とは別の概念であることなどから、本件取引は「金融業及び保険業」に当たらないと主張する。

2  産業分類は、日本の産業(ここで、「産業」とは、事業所において社会的な分業として行われる財貨及びサービスの生産又は提供に係る全ての経済活動をいう。)に関する統計の正確性と客観性を保持し、統計の相互比較性と利用度の向上を図るために、統計調査の産業表章の基準の一つとして設定されたもの(甲第七号証)である。他方、所得税法施行令六三条において列挙される事業は、所得税においてどのような発生原因による所得を事業所得として課税するのが適当かという課税政策に基づいて設定されたものである。このように、両者は別個の概念であって、必ずしも一致するとは限らないから、産業分類に列挙されている各「産業」に該当するかということの検討結果は、ある経済的行為が事業に当たるかどうかの判断に直接立つわけではない。しかし、同条一号ないし一一号に掲げる事業はおおむね産業分類の大分類に列挙される産業と一致しているのであるから、産業分類に基づく検討結果は、ある事業が所得税法施行令六三条各号に規定する事業のうち何号の事業に当たるかの判断の参考にはなりうるものである。

3  証拠によると、本件取引に関して、次の各事実が認められる。

(一) 原告は、商品取引所の会員ではなく、本件取引を始めるまで商品先物取引に関する職業的な知識がなかったが、昭和六〇年五月ころ、大阪市内に存する商品先物取引の売買委託の会社である大石商事株式会社の外務員河野某に勧誘されて、商品先物取引を始め、大石商事株式会社のほかにも、北辰商品株式会社その他数社の売買委託会社と取引をしている。(原告本人尋問の結果)

(二) 原告は、取引開始後一か月くらいは、右河野と相談しながら取引をしていたが、その後は、参考文献や業界紙、販売委託会社などから商品先物取引の情報を得ながら、自分で値動きの予測を立て、自分で判断して取引をしていた。

原告は、当初から、値動きの予測を立てるために自分でチャートを作成して商品先物取引を続けたが、本件取引をした昭和六〇年から六二年までの間、年間を通じて商品先物取引で利益を得たことはなかった。原告は、平成三年九月ころ、売勢力、買勢力及び実際の値動きを一枚のグラフにまとめたチャートを作り上げたが、結局同年分についても商品先物取引については前年分と同程度の損失を計上した。なお、原告は、このような研究は、深夜の午前二時か三時にしていた。(以上、甲第六号証、証三宅修文の証言、原告本人尋問の結果)

(三) 原告は、右のチャートを作成するのに、パソコンを使用していたが、これは、昭和六二年六月ころ購入されたもので、商品先物取引専用のものでなく、主に税理士業務に使用しており、その減価償却についても税理士業についてしていた。

また、原告は、商品先物取引専用の事務所を持たず、原告が税理士業をしている事務所において本件取引をしていたが、その事務所には、税理士業の看板は掲げていたものの、商品先物取引の看板は掲げられていなかった。

原告の税理士事務所には、税理士資格を持たない二人の事務員がいたが、二人とも、原告が商品先物取引を始める前から事務所に勤務していた者で、主に税理士業務に関する仕事に従事しており、特に商品先物取引についての知識を持っているわけではなく、それ以外に原告が商品先物取引に精通した専門家を雇っていたわけでもなかった。(以下、乙第三号証の一、二、証人三宅修文の証言、原告本人尋問の結果)

(四) 原告が、本件取引を始める前、税理士業で年間二〇〇〇万円強の収入を上げていたが、本件商品先物取引を始めた昭和六〇年から六二年まだの間においても、税理士業務に関する収入所得は、その前年と比べて減ったわけではなく、二〇〇〇万円を少し上回る程度であった。(証人三宅修文の証言)

4  以上の事実及び前記争いのない事実によれば、本件取引は、原告が税理士業務で得た財貨をつぎ込んでしたものであるが、もっぱら原告の本業である税理士業の片手間に、あくまで自己の利殖を意図して投機目的のためにしたものと認められ、社会的な分業としての実体を持っていないものと解される。

また、原告が主張する産業分類の大分類J-金融業及び保険業、中分類六四-補助的金融業、金融附帯業、細分類六四一九-その他の補助的金融業、金融附帯業に該当するものとして、北海道建設事業信用保証株式会社、東日本建設事業信用保証株式会社及び西日本建設事業信用保証株式会社が列挙されている。ところで、商品先物取引とは、ある商品を将来の一定期日又は一定期間内に受け渡すべきことを現在の一定の条件に従って前もって約定しておく売買契約で、通常は期日までの間に反対売買による差金決済をして清算しその間の価格変動による利益を獲得することを目的として行われているもので、本件取引においても同様である。したがって、商品先物取引は、金融と密接に関連する補助的、付随的な業務には当たらないから、本件取引はその他の補助的金融業、金融附帯業には当たらず、また、他の大分類J-金融業及び保険業中の他の産業にも本件取引に該当する産業はない(甲第七号証)から、本件取引は産業分類大分類J-金融業及び保険業に当たらない。

5  したがって、本件取引は、所得税法施行令六三条八号の金融業及び保険業に分類されるような種類の経済的行為には当たらないから、事業であるかどうかについてのその余の点について判断するまでもなく、右金融業及び保険業には当たらない。

三  所得税法施行令六三条一二号該当性について

1  原告は、本件取引は、仮に所得税法施行令六三条八号に当たらないとしても、右施行令六三条一二号の「前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業」に該当すると主張し、被告は、本件取引は事業としての社会的客観性を欠くから事業に当たらないと主張する。

2  一定の経済的行為が、右の「対価を得て継続的に行なう事業」に該当するか否かは、その行為が、営利性、有償性を有し、かつ、反復性、継続性を有するというだけではなく、それが事業と認められるようなものであることが必要である。そして、その行為が事業と認められるためには、前記の営利性、有償性の有無、継続性、反復性の有無のほか、自己の危険と計算による企画遂行性の有無、その行為に費やした精神的・肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、資金の調達方法、その経済的行為の目的、その行為をすることにより相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性の有無、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの客観的な諸要素を総合的に検討して社会通念に照らして判断すべきものと解するのが相当である。

3  原告は、税務関係の法令の解釈は租税法定主義の原則により厳格にされることが要請されるが、前記の解釈は「対価を得て継続的に行なう」事業に該当するかどうかの判断に際して対価性、継続性以外の法律にない要件を付け加えており、また、付け加えた要件を総合的に判断するとしても各要件の重要性の度合いが明らかではなく、内容についても不当な要件であるから、租税法定主義に反すると主張する。

しかし、所得税法施行令六三条一二号は、「対価を得て継続的に行なう事業」も所得税法二七条一項の事業所得の発生原因である事業の範囲に含まれると規定していて、対価性、継続性だけでなく「事業」に当たることも事業所得を発生させる事業であるための要件としているのである。ただ、所得税法及び同法施行令には「事業」についての定義がないため、その要件の存否の認定に際しては、単にその行為をした者が主観的に事業と思っていたかどうかによるのではなく、客観的な状況から社会通念に従って判断すべきであることから、「事業」該当性の有無を判断すべきであると解したにすぎないのであるから、このような解釈が、法律にない要件を付け加えたものということはできない。

また、前記の事業に当たるための諸要素は、それぞれ独立した要件でも不可欠の要件でもなく、事業が通常備えているような属性を備えているかどうかを判断するための判断の目安に過ぎず、その内容も合理的なものということができる。原告は、この諸要素が不当であるとする例として、配偶者がする農業、いわゆる脱サラでする衣料製造業の例を挙げるが、いずれも、前記の諸要素についての判断のための材料が不足していてそれだけでは事業に当たるかどうかを判断することはできない。また、原告は、給与所得で生活を立てていて、不動産経営の知識及び生計を賄った実績がなく、不動産について人的設備を持たない者がワンルームマンションの賃貸によって被った損失の金額があっても、給与所得との損益通算を認めているから前記諸要素であると主張するが、右のような者がワンルームマンションの賃貸によって被った損失の金額は、不動産所得の金額計算上生じた損失の金額(所得税法二六条一項)として損益通算することが認められている(同法六九条一項)のであり、事業所得として損益通算が認められたものではないから、前記諸要素が適当でないという根拠になるわけではなく、前記のような解釈が租税法律主義に反するということはできない。

4  原告は、法人が定款の中に商品先物取引をすると定めた場合に、その法人の商品先物取引が事業所得を生じる行為であることを被告は否定しないと思われるが、個人が商品先物取引をする場合と一貫性、合理性を欠く取扱いで、個人の所得については法人の所得よりも軽く課税しようとする所得税法の趣旨や憲法が保障する事業活動の自由と抵触すると主張する。

所得税法においては、所得の発生原因又は発生形態の相違によって所得を一〇種類に分類し、それぞれの所得の質的担税力に応じた所得金額の計算方法を個別的に規定し(同法二二条以下)、さらに、損益通算(同法六九条)、変動所得及び臨時所得の平均課税制度(同法九〇条)、各種の人的、物的控除制度(同法七二条以下)、累進税率(同法八九条)の制度など種々の制度を設けて、納税者の能力の違いに応じて負担を課すようにしている。

他方、法人税法においては、法人の所得の金額は同法二二条一項「内国法人の各事業年度の所得の金額は当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。」と規定されていて、所得の種類を分類することなく、一元的に取り扱っている。このように個人の所得税の場合と異なった取扱いを定めたのは、その設立目的が定款において定められその目的に応じた活動を行うために設立される法人にとって、その目的に応じた活動によって生じた所得はすべて法人の本来的な所得であり、その発生原因を特に区別する必要がなく、また、法人においては個人の場合と違って消費生活の維持ということを考慮する必要がないので、原則として担税力ということが問題でならず、法人の活動の成果を全て課税所得の計算に反映させるのが妥当なためである。

したがって、法人税法においては、事業所得という概念自体存在せず、法人の行為が事業所得を生じさせる事業に当たることを被告が認めるということはありえないから、原告の主張は前提に誤りがある。

また、法人税法と所得税法はそれぞれの理念に適合するように所得の取扱方法を定めているのであり、法人と個人のいずれの税が重いかというように単純に比較ができるものではなく、所得税法と法人税法とにおける所得に対する取扱いが異なっているのは、前記のとおり理由によるものであるから、その異なった取扱いは合理的な理由に基づくということができ、この点に関する原告の主張も採用することはできない。

5  原告は、商品先物取引と類似する有価証券の取引について、取引回数及び取引数量が一定数を越える有価証券の売買から生じる所得は事業所得に該当するから、商品取引においても同様の取扱いがされるべきであると主張する。

所得税法九条(昭和六三年法律一〇九号による改正前のもの)一項一一号イは、有価証券の譲渡による所得のうち「継続して有価証券を売買することによる所得として政令で定めるもの」以外のものは所得税を課さないと規定し、これを受けた同法施行令二六条(昭和六三年政令三六二号による改正前のもの。)一項は、右の非課税所得にならないものを、「有価証券の売買を行う者の最近における有価証券の売買の回数、数量又は金額、その売買についての取引の種類及び資金の調達方法、その売買のための施設その他の状況に照らし、営利を目的とした継続的行為と認められる取引から生じた所得」は課税の対象になると規定し、さらに、同法施行令二六条二項は、<1>売買回数が五〇回以上、<2>売買をした株数又は口数の合計が二〇万以上という要件に該当するときは、前項の他の状況に関係なく課税の対象になると規定している。

しかし、前記所得税法及びその施行令の条項が定めているのは、右のような有価証券の取引から生じた所得は、課税の対象になるということだけであって、右の規定によって課税の対象になった所得がどのような種類の所得に当たるかについて何ら規定していない。したがって、右の課税所得が事業所得に当たるかについては、商品先物取引の場合と同様、所得税法二七条一項、同法施行令六三条各号に定める事業の範囲内の事業に当たるかどうかによって定まるものである。

原告は、このような解釈に対し、所得税法九条一項一一号イを受けて課税される有価証券取引の範囲を規定する同法施行令二六条一、二項によって、五〇回以上の売買若しくは二〇万株以上の取引にあっては、「その売買についての取引の種類及び資金の調達方法、その売買のための施設その他の状況」がどのようなものであっても、「営利を目的とした継続的取引行為を認め」るというのであるから、その要件を満たすものを事業所得と認定することが、法律及び施行令の自然なかつ適切な解釈だと主張する。しかし、この主張は、所得税法施行令六三条一二号の「対価を得て継続的に行う事業」について、対価を得て継続的に行ってさえいれば「事業」に当たるという解釈と同様のものであり、このような解釈を採用できないのは前述したとおりであり、原告のこの主張は採用できない。

6  そこで本件取引をみると、前記認定事実及び争いのない事実によれば、原告は、本件各年分の三年間だけでも、相当多数回の商品先物取引を行い、その金額も相当多額にのぼっているから、本件取引が反復、継続して行われたものであることは否定できない。また、商品先物取引の売買委託会社の外交員に勧められて本件取引を始めたとはいえ、相場を読むためのチャートを作成するなど工夫をし、自ら判断して取引をしていたのであるからある程度計画的に行われたという事情も窺うことができる。

しかし、原告は、職業が税理士で、過去に商品先物取引に関する職業に関与したことはなく、商品先物取引に関する十分な知識を有していたわけではない。また、本件取引は原告の税理士事務所においてされたもので、その事務所にいるものは主に税理士業務に関する仕事に従事し、チャートの作成に使用したパソコンも主に税理士業務に使用していたものであり、特別な物的、人的施設を有しているということはできない。さらに、原告が本件取引に関する工夫に当てた時間帯は税理士業務に差し支えない午前二時か三時ころで、税理士業務からの収入が本件取引開始後もそれ以前と比べて取り立てて減少していないことからして、原告は、相変わらず本業が税理士業で、その片手間に本件取引をしていたにすぎないと推認できる。その取引の資金についても、特別に調達手段を持たず、全て税理士業務で得た利益をつぎ込んでいるにすぎず、原告の生活も全て税理士業で得た収入を当てていて、さらに、本件取引が投機性の相当強い商品先物取引であることもあって、本件各年分の商品先物取引は全て相当な損失に終わり、平成三年についても前年分と同程度の損失に終わっていることからしても、本件取引は継続的に安定した収益を得られる可能性が極めて少ないものということができる。

このように、原告は、税理士業を本業とし、これにより生計を維持し、この本業により安定した収入を確保しつつ、その傍ら、わずかな労力と時間により本件取引を行っていたものであり、継続かつ反復して行われた取引高も一般投資家の取引と特に異なる点はなく、また、多少窺える計画性も、熱心な一般投資家に認められる周到さと何ら変わるところはない。

以上の事実を社会通念に照らして検討しても、本件取引が「対価を得て継続的に行う事業」に当たるということはできない。

四  以上のとおり、原告の本件取引が所得税法における事業に当たらず、本件取引による損失が事業所得の金額の計算上生じた損失の金額ということはできない。そうすると、本件取引により生じた損失の金額は、雑所得の計算上生じた損失の金額と認められるが、雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、所得税法六九条一項により、他の所得金額から差し引くことはできない。したがって、本件取引により生じた損失の金額を原告の所得金額の計算上控除しなかった被告の本件処分は適法なものと認められる。よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 辻忠雄 裁判官 吉野孝義 裁判官 北川和郎)

別表(一)

昭和60年 商品先物取引売買状況

<省略>

昭和61年 商品先物取引売買状況

<省略>

昭和62年 商品先物取引売買状況

<省略>

別表(二)

原告の確定申告及び被告の更正等一覧表

<省略>

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